2018.01.01

interview

帝釈天に一目ぼれ 仏像に魅せられて

Samgha People

モデル・タレント・エッセイスト

はなさん

横浜の中華街で育った。異国情緒が漂う空間だった。2歳からインターナショナルスクールに通い、英語と日本語を同時に学んだ。日本という国を飛び越えたような生活だった。そんなはなさんが大きくなって仏像のファンになった。東寺の帝釈天に一目ぼれ。彼がまたがるインド象に乗って一緒に旅をしたい――。

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仏像の世界に足を踏み入れたのは大学時代だった。美術史を学ぶうちに、仏教美術に興味が芽生えた。

ディズニーランドに行くような調子で、奈良や京都の寺々で「仏像デート」を楽しんだ。そしてあの何ともいえない仏像たちのアルカイックスマイル(古典的微笑)にすっかり魅了されたのである。

仏像の写真をプロジェクターのスライドで見ていたのですが、映し出される仏像の、まずその姿に感動しました。それまでは鎌倉や奈良の大仏さましか知らなかった私が、ギリシャ彫刻のような彫りの深いお顔や、髪形も螺髪(らほつ)ではなくウェービーヘアだったり、西洋の彫刻を見ているような仏像がスライドに大きく映し出されたりして、それでまた驚きました。すっかり仏像のファンになったのです。

私はこれまで2度、法隆寺の百済観音(くだらかんのん)さまに似ていると言われたことがあるんです。とてもうれしかったです。ひょろひょろで猫背で首も出ている。でも、それにはちゃんとした理由がある。背の高い人は、低い人と話をするときに必ず首が前かがみになるんですね。百済観音の、その力が抜けた表情と体に、とても親しみが湧くんです。

広隆寺や中宮寺の弥勒菩薩(みろくぼさつ)に出会ってからは、すっかり仏像のほほ笑みが好きになりました。法隆寺の近くにひっそりと建つ中宮寺に、半跏思惟像(はんかしゆいぞう)の弥勒菩薩がおられます。 寒い日も、暑い日も、辛(つら)い日も、寂しい日も、いつでもやさしくスマイルです。大学生のころ、授業を一緒に受けた友だちに「はなと弥勒菩薩、同じ髪型だよ」と言われたんです。

頭の上のお団子が一緒だったんです。エジプトのスフィンクスやモナリザと共に、世界三大アルカイックスマイルに選ばれているんです。今でも、ちょっと悲しいとか、イライラするようなことがあっても、あっ、だめだと思ってちゃんと口角を上げようとすると、気持ちもすごくポジティブになれるような気がするんです。

仏像というのは、仏教を人々に分かりやすく教えるためのものですね。仏像を見たり、仏像にお会いしていると、あの手の形は何だろうとか、持っているものは何だろうとか、どうしてこういう表情をしているんだろうかとか、いろんな疑問が浮かび上がってくるんですね。その答えを自分で調べていくと、仏教の教えがすごく身近に感じられるようになるんです。

私は好きなことが多いんですよ。仏像も好きだし、お仕事も好きだし、野球も好きだし、ディズニーリゾートも好きだし、お菓子づくりも旅行も好き。 好きなことがたくさんあるというのは、すごく幸せなことだなと思います。

はな

Profile

はなさんモデル・タレント・エッセイスト

1971年、横浜市生まれ。上智大学比較文化学科卒業。インターナショナルスクール時代にモデルとして活動を始め、『non-no』『an・an』などのファッション誌で注目をあびる。現在はテレビの司会、CM、エッセーの連載などで幅広く活躍。主な著書に『ちいさいぶつぞう おおきいぶつぞう』『はなさんのまだ行ったことのない南九州』『はなのとっておきスウィーツBOOK』など。